二次電池産業が急速に発展している中、二次電池の評価やシミュレーション等につきまして、弊社でも度々お問い合わせを頂くようになり、これまで取り扱ってまいりました、
「バッテリシミュレーター」、「BMS評価装置」の技術を活かし、お客様のご要望にお応え出来ないか検討を進めてきました。
その試みの第一歩として、二次電池の劣化を短時間で判定することを目的とした「 バッテリチェッカー」の基本的な製作の流れを紹介致します。
今回製作したバッテリチェッカーで、市販ニッケル水素バッテリA、B、Cに対して定期的に放電を繰り返し、その時の内部抵抗を測定しました。@のグラフは、放電を重ねることで徐々に変化していくバッテリーの内部抵抗の様子をまとめたものです。
@連続放電による内部抵抗の変化 | |
*放電条件:満充電の状態から開始、『20Ωの負荷を5分間⇒3分間休み⇒測定』 | |
*測定方法:放電後、10usのポイントでの電圧値・電流値から内部抵抗を算出 | |
充電直後は同様に使用できるバッテリであっても、内部抵抗には個体差が生じており、この内部抵抗が大きいものほど駆動能力不足になりやすく、常に満充電に近い状態を維持し続けなければならなくなります。また、駆動能力が不足してきたバッテリの内部抵抗は、放電を重ねることで大きな変化を示します、上のグラフからもバッテリ(C)の内部抵抗が大きく変化し劣化傾向にあることが分かります。弊社では、この内部抵抗の個体差を短時間に抽出する方法としてAの短時間放電による内部抵抗変化に注目しました。 |
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A短時間放電による内部抵抗の変化 | |
各バッテリを短時間放電させ、10usのポイントと500msのポイント間で内部抵抗の差を比較してみると、劣化傾向にあるバッテリ(C)はこの2点間に大きな差が現れることが分かります。 ただし、大きな電流を流し出すことで内部抵抗の変化は大きくなりますが、一方でバッテリ残容量との依存性も強く現れて来てしまいます、したがって劣化の判定レベルをどこに設定するかは非常に重要なポイントになります。 今回のニッケル水素バッテリの評価では、@とAの異なる方法で同様な結果を得る事ができました。また、このバッテリチェッカを用いることで、様々な『電池評価試験』、『大型システム開発』への応用が可能となります。 |
弊社は設立以来、多くの企業の半導体,電子製品の信頼性向上に貢献して参りました。今後も一層力を注いでいくと同時に、これまで培ってきた信頼性技術を他分野でも活かす努力を惜しみません、今回の取り組みであるバッテリチェッカーもその一つと言えます。
バッテリシミュレーター PXIモジュール Pickering社製 |
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カーエレクトロニクス評価システム Pickering社製 |
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電池パック、電池モジュール、電池セル評価システム DMC社製 |
現在バッテリを取り巻く環境は、急速に発展し多様化しております。弊社では、まずお客様の生の声をお聞きし、一つひとつご要望にお応えしていくことが重要であると考えております。